葬儀の基礎知識と準備

葬儀の準備はいつから?事前相談のメリット・デメリット解説

葬儀の準備はいつから?事前相談のメリット・デメリット解説
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
宮坂
宮坂
「葬儀の準備」や「事前相談」と聞くと、「まだ先のこと」「縁起でもない」と感じる方が多いかもしれません。しかし、万が一の時、ご家族は深い悲しみの中で時間や心の余裕がないまま、短時間で多くのことを決断しなくてはならないのが現実です。

この記事では、後悔のないお別れのために、なぜ今から葬儀の準備が必要なのか、そして「いつから」始めるべきかを丁寧に解説します。

費用や希望をじっくり比較できるといった事前相談のメリットから、知っておきたいデメリットと対策、具体的な準備リストまで、あなたの不安を安心に変えるための情報をお届けします。

大切な人とのお別れの時間を心穏やかに過ごすため、ぜひ最後までご覧ください。

もくじ
  1. なぜ葬儀の準備が必要なのでしょうか?
  2. 葬儀の準備は「いつから」始めるのがベスト?
  3. 葬儀の「事前相談」を活用しよう
  4. 葬儀の事前相談がもたらす5つのメリット
  5. 知っておきたい、葬儀の事前相談のデメリットと対策
  6. 葬儀の事前相談・準備で決めておくべきことリスト
  7. 失敗しない!葬儀の事前相談の流れとポイント
  8. まとめ

なぜ葬儀の準備が必要なのでしょうか?

「人が亡くなってから考えることでは?」「縁起でもない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、私があえて「事前準備」の重要性をお伝えするのは、いざその時を迎えたご家族が直面する、あまりにも過酷な現実を数多く見てきたからです。

葬儀の準備が必要な理由は、主に「時間的・精神的な余裕のなさ」に集約されます。

理由は「時間的・精神的な余裕のなさ」

ご逝去から葬儀まで時間はわずか

一般的に、人が亡くなられてからお通夜、告別式といった葬儀を執り行うまでの時間は、わずか2〜3日程度しかありません。病院で亡くなられた場合、ご遺体を速やかに安置場所に搬送する必要があり、その瞬間から、葬儀社選びは始まっています。

安置場所はどこにするのか、どの葬儀社に依頼するのか、どんな形式の葬儀にするのか、誰に連絡するのか…、これら無数の選択と決定をたった1〜2日の間に、悲しみに暮れながら行わなければなりません。

この時間的な制約が、冷静な判断を非常に難しくさせます。事前に準備ができていれば、「あの時決めておいた葬儀社に連絡しよう」と、まず一つ、大きな決断をスムーズに行うことができるのです。

深い悲しみの中で多くの判断が必要になる

大切な人を失った直後は、多くの人が深い悲しみや喪失感にさいなまれ、現実を受け止めることさえ困難な状態にあります。

そんな精神状態で、葬儀に関する複雑な事柄を次々と決めていかなければならないのは、想像を絶するほどのストレスです。

「故人はどんなお葬式を望んだろうか」「予算はどれくらいが妥当なのだろうか」と考えようにも、頭が真っ白になってしまうのは当然のことです。悲しみに寄り添い、故人を偲ぶべき大切な時間に、事務的な手続きや金銭的な交渉に追われてしまいます。

この精神的な負担こそが、事前準備で最も軽減できる部分なのです。あらかじめ故人の希望や予算が決まっていれば、残された家族は心穏やかに、故人との最後の時間に集中することができます。

費用に関するトラブルも起こりがち

葬儀には、決して安くはない費用がかかります。そして、その費用内訳は非常に複雑で、専門知識がなければ分かりにくい部分も多々あります。

「基本プラン」に含まれるもの、含まれないもの(オプション)が曖昧なまま契約してしまい、後から高額な追加料金を請求されるといったトラブルは、残念ながら少なくありません。

時間も精神的余裕もない状況では、複数の葬儀社から見積もりを取って比較検討することは困難です。提示された金額が妥当なのか判断がつかないまま、言われるがままに契約してしまうケースもあります。

事前に準備し、複数の葬儀社から話を聞いておくことで、費用の相場観を養い、納得のいく価格で質の高いサービスを提供してくれる葬儀社を見極めることができます。

葬儀の準備は「いつから」始めるのがベスト?

「準備の必要性は分かったけれど、具体的にいつから始めればいいの?」という疑問が湧いてきますよね。これは非常に多くの方が悩まれるポイントです。

結論:「思い立ったが吉日」が最適なタイミング

「葬儀の準備について考え始めた、その時がベストタイミング」です。明日かもしれないし、数十年後かもしれません。「もしも」の時は、誰にも予測できません。

だからこそ、「まだ早い」ということは決してないのです。むしろ、心身ともに元気で、冷静に物事を考えられるうちに準備を進めておくことが、最も理想的と言えます。

ご自身のため、ご家族のため、この記事を読んで「少し考えてみようかな」と思った今この瞬間こそが、準備を始める絶好の機会なのです。

具体的なきっかけとなりやすい時期

そうは言っても、何か具体的なきっかけが欲しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。多くの方が葬儀の準備を意識し始める、代表的なタイミングをいくつかご紹介します。

親が元気なうちに話し合っておきたいと思った時

「まだまだ元気でいてほしいけれど、万が一の時に本人の希望を叶えてあげたい」という、お子様世代からのご相談が非常に増えています。

親御様が元気で、自分の意思をはっきりと伝えられるうちに、どんなお見送りを望んでいるのか、誰に連絡してほしいのかなどを聞いておくことは、最高の親孝行の一つです。

最初は切り出しにくいかもしれませんが、「これからの人生をより良く生きるために、エンディングについて一緒に考えてみない?」といったポジティブな言葉で誘ってみるのもよいでしょう。

自分の将来や終活について考え始めた時

ご自身の定年退職や、子どもの独立、あるいはご友人の葬儀への参列などをきっかけに、「自分の最期は自分で決めたい」「残される家族に迷惑をかけたくない」と、ご自身の葬儀準備を始める方も少なくありません。

特に最近では、人生の締めくくりを自分らしくプロデュースする「終活」の一環として、葬儀の事前準備を積極的に行う方が増えています。自分の希望を明確にし、エンディングノートなどに記しておくことで、残された家族が迷うことなく、あなたの意思を尊重した葬儀を執り行うことができます。

病気の告知や入院がきっかけになることも

ご自身やご家族が大きな病気を患ったり、入院生活が長引いたりすると、否が応でも「死」を意識せざるを得ない状況になります。

このような時、不安な気持ちを少しでも和らげ、残された時間を穏やかに過ごすために、葬儀の準備を始める方もいらっしゃいます。

今後の治療方針と並行して、万が一の時のことを整理しておくことは、ご本人にとってもご家族にとっても、心の安定につながることがあります。

ただし、心身の状態によっては大きな負担になる場合もあるため、ご本人の気持ちを最優先に進めることが大切です。

葬儀の「事前相談」を活用しよう

葬儀の「事前相談」を活用しよう

葬儀の準備といっても、一体何から手をつければよいのでしょうか。インターネットで情報を集めたり、本を読んだりするのも一つの方法ですが、最も確実で効率的なのが、葬儀のプロフェッショナルである葬儀社に直接話を聞く「事前相談」です。

葬儀の「事前相談」とは?

「事前相談」とは、その名の通り、生前のうちに葬儀社へ葬儀に関する相談をすることです。多くの葬儀社では、無料の相談窓口を設けており、電話やメール、対面などで専門のスタッフが対応してくれます。

葬儀の種類や流れ、費用のことなど、漠然とした不安や疑問に何でも答えてもらえます。決して「契約をしなければならない」というものではなく、あくまで情報収集やプランニングの場として気軽に利用できるサービスです。

なぜ事前相談が重要なのか

事前相談の最大の価値は、「漠然とした不安」を「具体的な計画」に変えられる点にあります。自分たちだけで準備を進めようとすると、どうしても情報が偏ったり、専門的な部分で判断に迷ったりしがちです。

しかし、事前相談を利用すれば、経験豊富なプロの視点から、個々の状況や希望に合わせた最適なアドバイスをもらえます。これにより、いざという時に「何を」「誰が」「どのように」進めれば良いかが明確になり、パニックに陥るのを防ぐことができるのです。

葬儀の事前相談がもたらす5つのメリット

では、具体的に事前相談にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、特に重要だと私が考える5つのメリットを詳しく解説していきます。

メリット①:葬儀費用の内訳が明確になり、予算を立てやすい

事前相談の最大のメリットと言っても過言ではないのが、費用の透明化です。葬儀の見積書は項目が多く複雑ですが、事前相談では、スタッフが一つひとつの項目について丁寧に説明してくれます。

「祭壇一式」「運営管理費」「火葬料金」など、それぞれの項目に何が含まれ、何が含まれないのかを明確に理解できます。これにより、「どこを節約できて、どこにはお金をかけるべきか」といった具体的な資金計画を立てることが可能になります。

例えば、「参列者は少ないから、会場は小さくして費用を抑えたい」「故人が好きだったお花で祭壇を飾りたいから、そこはこだわりたい」といった希望を伝えれば、それに沿った詳細な見積もりを作成してもらえます。

複数の葬儀社から見積もりを取れば、内容と価格を比較検討でき、不当に高額な請求をされるリスクを回避できます。この「お金の不安」が解消されるだけでも、精神的な負担は大きく軽減されるはずです。

メリット②:希望に沿った葬儀プランをじっくり比較検討できる

時間に追われる状況では、「とにかく早く決めなければ」という焦りから、葬儀社の提案を鵜呑みにしてしまいがちです。

しかし、事前相談なら、時間的な余裕を持って自分たちの希望をじっくりと伝えることができます。

「故人は賑やかなことが好きだったので、明るい雰囲気で見送りたい」「親しい身内だけで、静かに故人を偲ぶ家族葬にしたい」「無宗教なので、宗教的な儀式は行わない形式で」など、故人の人柄や遺志、家族の想いを反映した、オーダーメイドの葬儀プランを考えることが可能です。

葬儀社側も、様々な選択肢や過去の事例を提示しながら、最適な形を一緒に模索してくれます。このプロセスを通じて、故人らしさを表現できる、本当に満足のいくお別れの形を見つけ出すことができるのです。

メリット③:いざという時に慌てず、故人とのお別れに集中できる

事前に相談し、葬儀社やプランを決めておけば、いざその時を迎えた際の行動が明確になります。ご逝去後、まずやるべきことは「決めておいた葬儀社に一本電話を入れること」、これだけです。

病院へのお迎えからご遺体の安置、その後の手続きまで、すべてをスムーズに進めてもらえます。

葬儀社選びやプランニングに頭を悩ませる必要がないため、残されたご家族は、ただひたすらに故人を偲び、語りかけ、お別れを惜しむという、最も大切でかけがえのない時間に集中することができます。

悲しみの淵にいる家族から、煩雑な手続きという負担を取り除いてあげること。これこそが、事前相談がもたらす計り知れないメリットの一つです。

メリット④:残される家族の精神的・金銭的負担を大幅に軽減できる

ご自身の葬儀について事前準備をしておくことは、残される家族への最大の思いやりとなります。あなたが自分の希望を明確に残しておくことで、家族は「お父さん(お母さん)は、どんなお葬式を望んだろう…」と悩む必要がなくなります。

「故人の希望通りに見送ってあげられた」という事実は、残された家族の心の慰めとなり、後悔の念を軽くしてくれるでしょう。

また、費用面についても同様です。葬儀費用を誰がどのように支払うのかをあらかじめ決めておけば、家族が急な出費に困ることもありません。

自分の葬儀代として資金を準備しておく、生命保険を活用するなど、具体的な手立てを講じておくことで、家族の金銭的な負担を未然に防ぐことができます。

メリット⑤:葬儀社の雰囲気や担当者の人柄を確認できる

葬儀は「人」が創り上げる儀式です。どれだけ立派な設備やプランがあっても、それを担当するスタッフの対応が悪ければ、満足のいくお見送りはできません。

事前相談は、その葬儀社が信頼に足るかどうかを、自分自身の目と耳で見極める絶好の機会です。事務所は清潔に保たれているか、スタッフの言葉遣いや態度は丁寧か、こちらの質問に親身になって答えてくれるか、不安な気持ちに寄り添ってくれるか。

特に、担当者との相性は非常に重要です。大切な家族の最期を、この人に任せても大丈夫だろうか。そう思える担当者に出会えるかどうかは、葬儀の満足度を大きく左右します。複数の葬儀社を訪ねて、比較検討することをおすすめします。

知っておきたい、葬儀の事前相談のデメリットと対策

多くのメリットがある事前相談ですが、いくつか注意すべき点、いわゆるデメリットと感じられる側面もあります。しかし、これらは事前に対策を知っておくことで、十分に乗り越えることが可能です。

デメリット①:「縁起でもない」と家族から反対される可能性

特に親世代の葬儀準備を子世代が進めようとする場合、「まだ元気なのに、死ぬのを待っているみたいで縁起が悪い」と、ご家族から反対されてしまうケースがあります。死を語ることをタブー視する感情は、誰にでも起こりうる自然なものです。

対策:話し合いの切り出し方を工夫する

このデメリットを乗り越える鍵は、「伝え方」にあります。ストレートに「お葬式の話をしよう」と切り出すのではなく、ポジティブな側面を強調するのがポイントです。

例えば、「お父さん(お母さん)が元気なうちに、希望をたくさん聞いておきたいんだ。いざという時に、私たちが後悔しないように」「これからの人生を、もっと安心して楽しく過ごすために、一度終活について一緒に考えてみない?」といった形で、相手を思いやる気持ちを伝えることが大切です。

また、テレビの終活特集や有名人のエンディングノートなどを話題のきっかけにするのも良い方法です。あくまで「未来のための前向きな準備」であることを伝え、焦らずゆっくりと対話を重ねていきましょう。

デメリット②:相談してから時間が経つと情報が古くなる

例えば、5年前に事前相談で決めたプランや見積もりが、いざという時にそのまま通用するとは限りません。葬儀の様式やトレンドは変化しますし、物価の変動によって料金体系が変わっている可能性もあります。

また、家族構成や人間関係の変化によって、当初の計画が現状にそぐわなくなることも考えられます。

対策:定期的な見直しや情報更新を心がける

このデメリットへの対策はシンプルで、「定期的なメンテナンス」を心がけることです。一度相談したら終わりではなく、1〜2年に一度は葬儀社に連絡を取り、プラン内容や料金に変更がないかを確認しましょう。

多くの葬儀社では、一度相談した顧客の情報を保管してくれていますので、スムーズに確認できるはずです。また、ご自身のエンディングノートなども、年に一度、誕生日や年末などのタイミングで見直し、最新の情報にアップデートする習慣をつけておくと安心です。

デメリット③:どの葬儀社に相談すればよいか分からない

いざ事前相談をしようと思っても、地域には数多くの葬儀社があり、どこに連絡すればよいのか迷ってしまう、というのもよくある悩みです。ウェブサイトを見ても良いことばかり書いてあり、違いが分からないと感じる方も多いでしょう。

対策:複数の葬儀社から話を聞き、比較検討する

このデメリットを克服する最善の方法は、手間を惜しまず、最低でも2〜3社の葬儀社から話を聞くことです。1社だけの話では、その内容や費用が客観的に見て妥当なのか判断できません。

複数の葬儀社と実際に話すことで、それぞれの特徴や強み、弱みが見えてきます。見積もり内容を比較すれば価格の相場観もつかめますし、何より担当者との相性を比べることができます。

「A社は価格が安いけど、B社の担当者さんのほうが親身になってくれた」といった、自分なりの評価軸が生まれます。少し時間はかかりますが、この比較検討こそが、後悔しない葬儀社選びの最も確実な道筋です。

葬儀の事前相談・準備で決めておくべきことリスト

では、具体的に事前相談や準備の段階で、どのようなことを決めておけば良いのでしょうか。ここでは、「基本編」と「応用編」に分けて、決めておくべき項目をリストアップします。

【基本編】これだけは押さえておきたい5つの項目

まずは、葬儀の骨格となる基本的な部分です。これらが決まっているだけでも、いざという時の負担は劇的に減ります。

① 葬儀の形式と規模(一般葬、家族葬、一日葬など)

どのような葬儀にしたいのか、その大枠を決めます。昔ながらの「一般葬」、親しい身内だけで行う「家族葬」、お通夜を省略する「一日葬」、儀式を行わず火葬のみを行う「直葬(火葬式)」など、様々な形式があります。

誰を呼びたいのか、どのくらいの規模感にしたいのかによって、最適な形式は変わってきます。それぞれのメリット・デメリットを葬儀社に聞きながら、故人や家族の意向に最も近い形式を選びましょう。

② 葬儀の場所(斎場、自宅など)

葬儀をどこで行うかも重要な決定事項です。葬儀社が所有する自社斎場、公営の斎場、地域の集会所、お寺、あるいは自宅など、選択肢はいくつかあります。交通の便、駐車場の有無、収容人数、費用などを考慮して選びます

。特に、故人が慣れ親しんだ自宅でのお見送りを希望する場合は、その旨を葬儀社に伝え、実現可能かどうかを相談しておく必要があります。

③ 葬儀の費用と支払い方法

葬儀全体の予算を決めます。事前相談で取得した見積もりを元に、「総額で〇〇円くらいに収めたい」という上限を決めておくと、プランニングがしやすくなります。

また、その費用を誰が、どのように支払うのかも明確にしておきましょう。預貯金から支払うのか、生命保険金を充てるのか、複数の相続人で分担するのかなどを話し合っておくと、後のトラブルを防げます。

④ 遺影写真の準備

意外と見落としがちですが、いざという時に慌てて探すことが多いのが遺影写真です。ピントが合っていなかったり、集合写真から無理に引き伸ばして画質が荒くなったりと、満足のいく写真が見つからないケースは少なくありません。

元気なうちに、その人らしさが表れている、お気に入りの一枚を選んでおきましょう。スナップ写真でも構いません。最近では、プロのカメラマンに「終活ポートレート」を撮影してもらう方も増えています。

⑤ 宗教・宗派の確認

菩提寺(ぼだいじ)がある場合は、そのお寺の名称と連絡先を必ず確認し、控えておきましょう。ご逝去後、まず菩提寺に連絡を取り、僧侶の都合を確認してから葬儀の日程を決めるのが一般的です。無宗教の場合や、特定の宗教・宗派にこだわらない場合も、その意向を明確にしておくことが大切です。

【応用編】より具体的に希望を伝えるための項目

基本編に加えて、さらに細かな希望をまとめておくと、より理想に近い、その人らしい葬儀を実現できます。

① 訃報を知らせる範囲と連絡先リストの作成

誰に訃報を知らせてほしいのか、その範囲(親族、会社関係、友人など)を決め、具体的な連絡先リストを作成しておくと、残された家族の負担が大幅に減ります。

特に、家族が知らない故人の友人関係などは、リストがなければ連絡の取りようがありません。氏名、続柄、住所、電話番号などを一覧にしておきましょう。

② 祭壇や棺、返礼品の選定

祭壇を飾る花の種類や色、棺の材質やデザイン、参列者にお渡しする返礼品(香典返し)や会葬礼状など、細かな部分にも希望を反映させることができます。

例えば、「白木祭壇ではなく、好きな花で飾る花祭壇にしたい」「自然に還る素材でできたエコ棺が良い」といった希望があれば、事前に伝えておきましょう。

③ 葬儀で流したい音楽や思い出の品

故人が好きだった音楽を式中に流したり、愛用していた品物や趣味の作品などをメモリアルコーナーとして飾ったりすることで、故人の人柄が偲ばれる温かい空間を演出できます。

どんな曲を、どのタイミングで流したいか、何を飾りたいかなどを具体的に記しておくと良いでしょう。

④ 自分の葬儀の場合:エンディングノートの活用

ご自身の葬儀準備を進める場合は、「エンディングノート」の活用が非常に有効です。エンディングノートには法的な効力はありませんが、上記のような葬儀に関する希望だけでなく、財産のこと、延命治療の希望、家族へのメッセージなどを自由に書き残すことができます。

これは、あなたの想いを家族に伝えるための、最後の手紙であり、最高の贈り物になります。

失敗しない!葬儀の事前相談の流れとポイント

最後に、実際に事前相談を行う際の具体的な流れと、押さえておくべきポイントをご紹介します。

1:情報収集と比較検討

まずはインターネットや知人からの紹介などで、地域の葬儀社をいくつかリストアップします。各社のウェブサイトを見て、企業理念やプラン内容、料金体系などを大まかに比較し、相談してみたいと思う葬儀社を2〜3社に絞り込みましょう。

2:葬儀社への問い合わせと相談予約

候補の葬儀社に電話やウェブサイトのフォームから連絡を取り、「事前相談をしたい」旨を伝えます。対面での相談を希望する場合は、都合の良い日時を予約しましょう。

その際、相談したい内容(例えば「家族葬の費用について知りたい」など)を簡単に伝えておくと、当日の話がスムーズに進みます。

3:事前相談の実施と見積書の取得

予約した日時に葬儀社を訪問、または自宅に来てもらい、相談を実施します。これまでに準備した希望や疑問点を、遠慮なく担当者に伝えましょう。相談の最後には、必ず詳細な「見積書」を作成してもらいます。

この時、「一式」などとまとめられた項目があれば、その内訳を詳しく確認することが重要です。

相談時に確認すべきチェックポイント

見積もりの総額と内訳: 追加料金が発生する可能性はあるか?

プラン内容: 必要なものが含まれ、不要なものが含まれていないか?

担当者の人柄と知識: 親身に対応してくれるか?質問に的確に答えられるか?

斎場の設備と立地: 清潔で使いやすいか?交通の便は良いか?

アフターフォロー: 葬儀後の手続き(法要、相続など)のサポートはあるか?

4:依頼する葬儀社の決定

持ち帰った各社の見積書と、相談時の印象を元に、家族で話し合い、依頼する葬儀社を決定します。すぐに1社に決められない場合でも、「第一候補はA社」というように優先順位をつけておくだけで、いざという時の判断が格段に早くなります。決定した場合は、その旨を葬儀社に伝えておくと、よりスムーズな連携が期待できます。

まとめ

葬儀の準備や事前相談は、決して「死」を待つためのネガティブな行為ではありません。むしろ、残された人生をより安心して、自分らしく生きるための、そして、最も大切な家族に「ありがとう」の気持ちを形にして伝えるための、極めて前向きな活動です。

いつから準備を始めるべきか、その答えは「今」です。

事前相談のメリットを最大限に活用し、デメリットには賢く対策することで、あなたとあなたの大切な家族は、計り知れない安心感を得ることができます。

いざという時に後悔しないために、そして、悲しみの中でも心穏やかに故人を偲ぶ時間を過ごすために。この記事が、あなたの「はじめの一歩」を踏み出すきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。

まずは気軽に、近所の葬儀社に一本電話をかけてみることから始めてみてはいかがでしょうか。その行動が、未来のあなたと家族を必ず支えてくれるはずです。