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火葬許可証はどこでもらえる?土日や夜間の申請方法も解説

火葬許可証はどこでもらえる?土日や夜間の申請方法も解説
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宮坂
宮坂
身近な方がお亡くなりになると、ご遺族は悲しみに暮れる間もなく、様々な手続きに追われます。中でも、火葬に不可欠な「火葬許可証」については、「そもそも何のこと?」「どこでもらえるの?」「仕事が休めないけど、土日でも手続きできる?」といった不安や疑問を感じる方は少なくありません。

故人様とのお別れを滞りなく進めるためには、この火葬許可証の手続きをスムーズに行うことが不可欠です。

この記事では、火葬許可証の役割といった基本的な知識から、具体的な申請場所、必要な書類、多くの方が気になる土日や夜間の対応、そして万が一紛失してしまった場合の対処法まで、あらゆる疑問を解消できるように、順を追って詳しく解説していきます。

この記事を最後まで読めば、火葬許可証に関する手続きの全体像が掴め、不安なく落ち着いて行動できるようになるはずです。大切な方とのお別れの時間を心穏やかに過ごすためにも、一緒に確認していきましょう。

火葬許可証とは?

法律で定められた「火葬の許可証」

「火葬許可証」とは、その名の通り「ご遺体を火葬することを法的に許可する」ための公的な証明書です。

これは「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)」という法律の第5条で定められており、市町村長からこの許可証の交付を受けなければ、火葬を行うことはできません。もし許可なく火葬を行ってしまうと、法律違反となり罰せられる可能性があります。

つまり、どれだけ立派な葬儀式場を予約しても、火葬場の予約が取れていても、この「火葬許可証」がなければ、火葬のステップに進むことができないのです。葬儀全体を前に進めるための、いわば「通行手形」のような、非常に重要な役割を担っています。

「埋葬許可証」として納骨時まで必要になる

火葬許可証の役割は、火葬の時だけで終わりではありません。火葬場で火葬許可証を提出すると、火葬が終わった後に、火葬場のスタッフが「火葬執行済」という証印を押して返却してくれます。

この証印が押された火葬許可証は、その瞬間から「埋葬許可証」という名称に変わり、役割も変化します。この「埋葬許可証」は、ご遺骨をお墓や納骨堂に納める「納骨」の際に、そのお墓の管理者に提出する必要があります。これがないと、納骨を受け付けてもらえません。

つまり、この一枚の書類は、火葬から納骨まで、長期間にわたって必要になる大切なものなのです。後ほど詳しく解説しますが、絶対に紛失しないよう、大切に保管しなければなりません。

火葬許可証はどこでもらえる?3つの申請窓口

この重要な火葬許可証を申請できる場所は、以下の3つのいずれかの市区町村役場です。

1. 故人の死亡地の市区町村役場
(例:東京都新宿区の病院で亡くなった場合 → 新宿区役所)

2. 故人の本籍地の市区町村役場
(例:本籍地が北海道札幌市の場合 → 札幌市役所)

3. 届出人(申請者)の所在地の市区町村役場
(例:届出人が神奈川県横浜市に住んでいる場合 → 横浜市役所)

基本的には、亡くなった場所の役所で手続きをするのが最も一般的です。入院先の病院が自宅から離れている場合や、旅行先で亡くなられた場合でも、その土地の役所で手続きが可能です。

また、ご自身の住民票がある役所でも手続きができるため、ご自身の都合に合わせて場所を選ぶことができます。

多くの場合、これらの手続きはご遺族に代わって葬儀社の担当者が代行してくれます。葬儀の打ち合わせの際に、手続きの代行についても相談してみるとよいでしょう。

葬儀社に依頼すれば、複雑な手続きに頭を悩ませることなく、故人を偲ぶ時間に集中できるという大きなメリットがあります。

火葬許可証の申請に必要なもの

火葬許可証の申請に必要なもの

申請のタイミング:死亡届と同時に行うのが基本

火葬許可証の交付申請は、「死亡届」の提出と同時に行います。法律上、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3ヶ月以内)に死亡届を提出することが義務付けられています。

実際には、お通夜や葬儀・告別式の日程を決める上で、火葬場の予約を先に押さえる必要があります。そして、その火葬を行うためには火葬許可証が必須となるため、ほとんどの場合、亡くなられた翌日か翌々日には死亡届の提出と火葬許可証の申請を済ませるのが一般的です。

申請できる人(届出人)

死亡届を提出し、火葬許可証を申請できる「届出人」になれるのは、戸籍法で定められています。優先順位順に以下の通りです。

1. 同居の親族
2. その他の同居者
3. 家主、地主または家屋もしくは土地の管理人
4. 同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人

一般的には、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹といったご家族が届出人となります。前述の通り、これらの親族から委任を受ける形で、葬儀社のスタッフが代理で手続きを行うケースが非常に多いです。

その際は、届出人の方が署名・捺印した死亡届と、委任状(不要な自治体も多い)、届出人の印鑑を葬儀社に預けることになります。

申請に必要な持ち物リスト

1. 死亡届(死亡診断書または死体検案書と一体になっています)
医師から渡されるA3サイズの書類で、左側が「死亡届」、右側が「死亡診断書(または死体検案書)」となっています。ご遺族は左側の死亡届の部分に必要事項を記入します。

2. 届出人の印鑑
死亡届に押印した印鑑を持参します。実印である必要はなく、認印で問題ありません。シャチハタは不可ですので注意しましょう。

このほか、念のため届出人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)があると安心ですが、必須ではない自治体がほとんどです。

火葬許可証の交付自体に手数料はかかりません。基本的に無料です。ただし、後述する再発行などの手続きでは手数料が発生する場合があります。

火葬許可証は土日や夜間でも受け取れる?

ご家族が亡くなるのは、役所が開いている平日の日中とは限りません。週末や夜間にお亡くなりになった場合、「手続きはどうすればいいの?」と心配になりますよね。ここでは、多くの方が気になる土日や夜間の対応について詳しく解説します。

死亡届の「受理」は24時間365日可能

まず、前提として「死亡届の提出」は、全国ほとんどの市区町村役場で24時間365日受け付けています。

平日の時間外や土日、祝日、年末年始などは、通常の窓口ではなく「時間外受付窓口」や「宿直・日直室」などで対応してくれます。これにより、法律で定められた「7日以内の提出」という期限を遵守することができます。

「火葬許可証の発行」は翌開庁日になる場合が多い

時間外窓口では、死亡届を「預かる(受領する)」ことはできても、その場で内容を審査して「火葬許可証を発行する」業務までは行えない自治体が非常に多いのが実情です。

この場合、提出した死亡届は預かり扱いとなり、火葬許可証は次の開庁日(例えば、土曜日に提出したら月曜日の朝)に発行されることになります。

【ケーススタディ】
金曜の夜にご逝去 → 土日に葬儀の打ち合わせ → 月曜日に火葬をしたい
この場合、土曜日に役所の時間外窓口へ死亡届を提出しても、火葬許可証が発行されるのは月曜の朝以降になります。そうなると、月曜日の午前中の火葬には間に合わない可能性が出てきてしまいます。

自治体によっては土日発行も可能!

ただし、全ての自治体が時間外発行に対応していないわけではありません。主要な都市や、火葬場を併設している自治体などでは、土日や祝日でも死亡届の審査と火葬許可証の即日発行に対応している場合があります。

事前に市区町村のホームページなどで、 土日祝日の窓口対応状況を確認するようにしましょう。

火葬許可証の発行を葬儀社に依頼していれば、担当者が自治体のルールを熟知しているか、もしくは代わりに確認してくれるため、ご遺族の負担は大きく軽減されます。

火葬許可証の申請から提出までの流れ

1:医師から「死亡診断書(死体検案書)」を受け取る

病院やご自宅で医師が死亡を確認した後、「死亡診断書」が発行されます。事件性などが疑われる場合は、警察の検視後に監察医が「死体検案書」を発行します。これは死亡届と一体になった用紙です。

2:死亡届に必要事項を記入・捺印する

受け取った書類の左側「死亡届」の部分に、届出人が必要事項(故人の氏名、生年月日、届出人の情報など)を記入し、署名・捺行します。本籍地など、分からない項目があれば、空欄のまま葬儀社に相談しても大丈夫です。

3:役所に死亡届を提出し、「火葬許可証」を受け取る

記入した死亡届と印鑑を持って、管轄の役所窓口へ提出します。書類に不備がなければ、その場で「火葬許可証」が交付されます。この書類の正式名称は自治体によって「火葬許可証」「死体火葬許可証」など若干異なります。

4:火葬場の管理者に「火葬許可証」を提出する

葬儀・告別式が終わり、火葬場に到着したら、火葬場の受付(管理事務所)に火葬許可証を提出します。これが受理されて、はじめて火葬が執り行われます。通常は、喪主または葬儀社のスタッフが提出します。

5:火葬後、証印が押された「埋葬許可証」を受け取る

火葬が終わり、お骨上げ(収骨)が終わると、提出した火葬許可証に「火葬執行済」の印が押されて返却されます。この瞬間から、この書類は「埋葬許可証」となります。絶対に紛失しないよう、骨壷を収めた桐箱や、骨壷の覆い袋の中に一緒に保管するのが一般的です。

葬儀社による手続き代行

葬儀社は、葬儀に関する様々な手続きを代行してくれる心強い存在です。特に、火葬許可証の取得手続きは、専門的な知識や経験が必要となるため、葬儀社に依頼することで、 ご遺族の負担を大幅に軽減することができます。

多くの葬儀社では、死亡届の提出から火葬許可証の取得まで、 一連の手続きを代行するサービスを提供しています。また、 葬儀社は、 火葬場の予約や、 火葬当日のサポートなども行ってくれます。葬儀社を選ぶ際には、 料金体系やサービス内容をしっかりと確認するようにしましょう。

火葬許可証の提出先と大切な保管方法

提出先は「火葬場の管理者」

火葬許可証の提出先は、葬儀場のスタッフではなく、火葬場の管理者です。火葬場の管理事務所や受付窓口で、火葬を執り行う前に必ず提出します。忘れてしまうと火葬ができないという深刻な事態に陥るため、葬儀社のスタッフは最も注意を払うポイントの一つです。ご自身で手続きを進める場合は、絶対に忘れないようにしましょう。

火葬後の「埋葬許可証」は納骨まで厳重に保管

火葬後に返却される「埋葬許可証」は、次なる重要な役割を担います。それは「納骨」です。

• お墓に納骨する場合:お墓がある霊園や寺院の管理者に提出します。

• 納骨堂に納める場合:納骨堂の管理者に提出します。

• 樹木葬にする場合:その管理者に提出します。

• 散骨する場合:散骨業者に提出を求められる場合があります。(散骨自体に許可は不要ですが、ご遺骨の証明として業者が必要とします)

• 手元供養する場合:自宅で保管する分には提出の必要はありません。ただし、将来的に一部でもお墓に納める可能性が少しでもあるなら、絶対に保管しておくべきです。

このように、ご遺骨の行き先が決まる際には必ず必要となります。いざ納骨しようという時に「見当たらない!」とならないよう、骨壷の桐箱の中に一緒に入れておくのが、最も確実で伝統的な保管方法です。葬儀社のスタッフも、多くの場合そのようにして返してくれます。

火葬許可証を紛失した場合の再発行手続き

もし火葬許可証や埋葬許可証を紛失してしまった場合でも、再発行が可能なので安心してください。ただし、紛失したタイミングによって手続きが少し異なります。

【火葬前に紛失した場合】

この場合は、火葬許可証を発行してもらった市区町村役場で再発行の手続きを行います。

• 手続き場所:死亡届を提出した役所の戸籍担当窓口

• 必要なもの:申請者の本人確認書類(運転免許証など)、申請者の印鑑、
故人との続柄がわかる書類(戸籍謄本など)

• 手数料:300円〜400円程度の手数料がかかるのが一般的です。役所の開庁時間内に手続きをする必要がありますので、紛失に気づいたらすぐに役所に連絡しましょう。

【火葬後(埋葬許可証)に紛失した場合】

この場合、再発行の手続きは、最初に火葬許可証を発行してもらった役所で行うのが基本ですが、保管期間によって対応が変わります。

•死亡届の保管期間内(通常5年程度)の場合:
火葬許可証を発行した役所で「火葬許可証の再発行」を申請します。手続き方法は火葬前の紛失時とほぼ同じです。

•死亡届の保管期間を過ぎている場合:
役所では再発行ができないため、火葬を執行した火葬場に連絡します。火葬場で「火葬執行証明書」という書類を発行してもらい、これを埋葬許可証の代わりとします。
火葬場によって証明書の発行手続きや手数料が異なりますので、まずは火葬場に直接問い合わせてみてください。

どちらのケースでも再発行には時間と手間、費用がかかります。やはり、紛失しないように厳重に保管することが何よりも大切です。

よくある質問

埋葬許可証を紛失した場合も再発行できますか?

はい、埋葬許可証を紛失した場合も再発行できます。埋葬許可証の再発行手続きは、火葬許可証の再発行手続きとほぼ同様です。まずは、埋葬許可証を発行した市区町村の役所に問い合わせて、必要な書類や手続き方法を確認してください。一般的には、本人確認書類、印鑑、埋葬許可証再発行申請書などが必要となります。

火葬許可証の有効期限はありますか?

いいえ、火葬許可証に有効期限はありません。ただし、火葬を行う際には、できるだけ速やかに火葬許可証を使用するようにしましょう。長期間経過した火葬許可証は、火葬場の判断によって使用できない場合があります。

火葬許可証をコピーして使用できますか?

いいえ、火葬許可証のコピーは使用できません。火葬を行う際には、必ず原本の火葬許可証を提出する必要があります。コピーは、不正使用を防ぐために認められていません。

まとめ

今回は、葬儀に不可欠な「火葬許可証」について、どこでもらえるのか、土日の対応はどうなっているのか、という点を中心に詳しく解説しました。

ご家族を亡くされた直後は、精神的にも肉体的にも大変な時期です。そんな中で、普段馴染みのない役所手続きを進めるのは大きな負担に感じられることでしょう。しかし、火葬許可証の手続きは、故人様を安らかに送り出すために避けては通れない、とても大切なステップです。

もし手続きに不安があれば、一人で抱え込まず、すぐに葬儀社に相談してください。専門家である彼らは、あらゆる手続きを熟知しており、ご遺族に寄り添ってスムーズに代行してくれます。専門家の力を借りることで、皆様は故人様とのお別れの時間を、より大切に、そして心穏やかに過ごすことができるはずです。

この記事が、あなたの手続きに関する不安を少しでも和らげる一助となれたなら幸いです。