葬儀の基礎知識と準備

葬儀の服装|お通夜や葬儀で使うハンカチ、男女で違う選び方

葬儀の服装|お通夜や葬儀で使うハンカチ、男女で違う選び方
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宮坂
宮坂
いざ葬儀という時に、「どんな色を選べばいいんだろう?」「レース付きでも大丈夫?」「お通夜と告別式でハンカチのマナーは違うの?」と慌ててしまう方も少なくありません。

特に、葬儀のハンカチは男女で少しずつマナーが異なり、急な弔問となるお通夜ではハンカチの色をどうすべきか悩むことは避けたいものです。

この記事では、そんな葬儀のハンカチに関するあらゆる疑問を解消します。基本的な選び方から、葬儀でのハンカチマナー(女性・男性別)、購入場所、忘れた時の対処法まで、これさえ読めば安心、という情報を網羅しました。大切な方との最後のお別れを、心穏やかに迎えるためのお手伝いができれば幸いです。

【基本マナー】葬儀で使うハンカチの選び方

葬儀に持っていくハンカチは、普段使っているものではなく、弔事の場にふさわしいものを選ぶのがマナーです。ここでは、誰でも押さえておくべき「色」「素材」「デザイン」の3つの基本ルールを詳しく解説します。

① 色の選び方:「白」か「黒」が絶対の基本

葬儀の場で使用するハンカチの色は、「白」または「黒」が基本です。

• 白のハンカチ
白は古くから神聖な色、清浄な色とされており、儀式の色として用いられてきました。日本の葬儀においては、故人が白装束をまとうように、白は旅立ちの色、穢れのない色といった意味合いを持ちます。そのため、葬儀のハンカチとして最もフォーマルで正式な色は「白」とされています。どちらか迷ったら、白を選んでおけば間違いありません。

• 黒のハンカチ
黒は「喪に服す色」として世界共通で認識されています。喪服が黒であるように、悲しみを表現する色として弔事全般で用いられます。黒のハンカチも、もちろん葬儀の場にふさわしい色です。

淡いピンクや水色、クリーム色など、一見すると控えめに見える色でも、慶事を連想させる可能性があるため葬儀の場では避けるのが賢明です。グレーや紺などの地味な色も、基本的には避けるべきとされています。

② 素材の選び方:吸水性と清潔感がカギ

涙を拭いたり、咳き込む際に口元を押さえたりと、ハンカチは実用性も求められます。そのため、素材選びも重要なポイントです。

•綿(コットン)
最も一般的で間違いのない素材です。吸水性に優れ、肌触りも良いため、涙を拭うのに最適です。アイロンをかけるとパリッとした清潔感が出るのも特徴で、フォーマルな場に最もふさわしい素材と言えるでしょう。

•麻(リネン)
綿と同様に吸水性が高く、さらりとした質感が上品な印象を与えます。使い込むほどに風合いが増すのも魅力ですが、シワになりやすいという欠点も。麻のハンカチを使用する場合は、必ずきれいにアイロンがけをして、清潔感を保つようにしましょう。

•ポリエステルなどの化学繊維
シワになりにくいというメリットがありますが、吸水性に関しては綿や麻に劣るものが多くあります。もし選ぶのであれば、綿との混紡素材など、吸水性にも配慮されたものを選ぶようにしましょう。

光沢のあるシルク(絹)やサテンは、華やかな印象を与えてしまうため慶事用とされ、弔事には不向きです。また、ふんわりとしたガーゼ素材も、ややカジュアルな印象になるため避けるようにしましょう。

デザインの選び方

デザインは、何よりも「無地」が基本です。白無地、または黒無地のハンカチを選びましょう。完全に無地でなくても、控えめなものであれば許容されるデザインもあります。

• 同色の織り柄(地模様):光沢が出すぎない、ヘリンボーンやドビー織りなど、生地自体に織り込まれた模様は問題ありません。

• ワンポイントの刺繍:白や黒、グレーなどの目立たない色の糸で施された、すみれやユリ、ハスの花といった控えめな刺繍は許容範囲です。ただし、刺繍はあくまでワンポイント。ハンカチの隅に小さく入っている程度に留めましょう。

• 縁取りのレース:女性用のハンカチに見られますが、こちらも上品で控えめなものに限ります。ハンカチと同色(白や黒)で、幅の狭いシンプルなデザインであれば問題ないとされています。

チェック柄やストライプ、ドット、花柄などの派手な色柄のものは、場の雰囲気にそぐわないため避けましょう。また、大きく目立つブランドロゴが入っているハンカチも不適切です。さらに、キャラクターが描かれたハンカチは子どもっぽく、厳粛な場にはふさわしくありません。ラメやスパンコールなどの光る装飾が施されたものも、華やかさが慶事を連想させるため、弔事では使用を避けるようにしましょう。

葬儀のハンカチ選び、女性が気をつけるポイント

葬儀のハンカチ選び、女性が気をつけるポイント

葬儀に参列する女性のハンカチは、悲しみに寄り添う上品さと、控えめな美しさが求められます。

•大きさ
女性用のフォーマルバッグは小さめのことが多いため、かさばらない小ぶりなサイズのハンカチが適しています。たたんだ時にすっきりとバッグに収まる大きさを選びましょう。

デザインの許容範囲
• レース:縁に細くあしらわれた、上品なレースは許容されます。色はハンカチ本体と同色の白か黒を選び、派手なフリルや大ぶりのデザインは避けましょう。
• 刺繍:すみれ、ユリ、蘭などの花をモチーフにした、白・黒・グレーの糸によるワンポイント刺繍は問題ありません。バラのように華やかな花や、色糸を使った刺繍は避けましょう。

•素材感
柔らかく、肌触りの良い上質な綿(コットン)素材が人気です。涙で濡れた目元を優しく押さえることができる、肌への配慮も大切です。

•持ち方と使い方
ハンカチはフォーマルバッグにしのばせておきます。涙を拭う際は、バッグから静かに取り出し、ゴシゴシとこするのではなく、目頭にそっと押し当てるように使うと、上品で落ち着いた印象になります。使い終わったら、汚れた面を内側にして静かにたたみ、バッグに戻しましょう。

葬儀のハンカチ選び、男性が気をつけるポイント

葬儀に参列する男性のハンカチは、余計な装飾のない、実直で清潔感のあるものがふさわしいとされています。

•大きさ
スーツのポケットに収まりやすい、一般的なサイズ(45cm角~50cm角程度)がよいでしょう。あまりに小さいと頼りなく、大きすぎるとポケットが不格好に膨らんでしまいます。

•デザイン
男性の場合は、潔く「無地」を選ぶのが最もスマートで間違いありません。白無地が最もフォーマルです。もしデザイン性のあるものを選ぶなら、光沢のない同色の織り柄(地模様)程度に留めておきましょう。

•色
白がベストですが、黒やダークグレーの無地でも問題ありません。ただし、ポケットチーフと混同されがちな明るいグレーや、ビジネスシーンで使うような色柄物は避けましょう。清潔感が何よりも重要なので、黄ばみや汚れのない、真っ白なハンカチを用意するのが理想です。

•素材と持ち方
きれいにアイロンがけされた綿のハンカチが、最も清潔感を演出できます。ハンカチは、ジャケットの内ポケットか、ズボンのポケット(前か横)に入れておきます。ズボンの尻ポケットに入れるのは、座った時にシワになりやすく、取り出す姿もあまり美しくないため避けましょう。

お通夜でのハンカチはどうする?

お通夜でのハンカチはどうする?

お通夜と告別式でハンカチのマナーに基本的な違いはありません。どちらの席でも、「白か黒の無地」が正式なマナーです。

「お通夜は“取り急ぎ駆けつける”ものだから、マナーも少し緩やかになるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。確かに、服装に関しては、仕事帰りなどで喪服の準備が間に合わない場合、ダークスーツなどの地味な平服での参列も許容されます。

しかし、ハンカチのような小物は、準備さえしていれば対応できるものです。可能であれば、お通夜であっても弔事用の白か黒のハンカチを用意していくようにしましょう。

【緊急時】どうしても白黒のハンカチがない場合

急な弔問で、どうしても白か黒のハンカチを準備する時間がない、というケースも考えられます。その場合は、苦肉の策として、お手持ちのハンカチの中で「最も地味で目立たない無地のもの」を選びましょう。

派手なハンカチしかないのであれば、いっそ持たない方がよい、あるいは斎場へ向かう途中のコンビニなどで購入するという選択肢も検討してください。

葬儀でのハンカチの使い方と当日のマナー

ふさわしいハンカチを用意できたら、当日の使い方にも気を配りましょう。さりげない所作が、その人の印象を決めます。

• 涙を拭うとき:感情が高ぶり涙が流れたら、ハンカチを目頭にそっと押し当てるようにして拭います。大げさに顔を覆ったり、ゴシゴシとこすったりするのは避けましょう。

• 咳やくしゃみ:やむを得ず咳やくしゃみが出そうになったら、ハンカチで口元をしっかりと覆います。音を立てないように配慮する姿勢が大切です。

• ハンカチのたたみ方:常にきれいにたたんでおきましょう。一度使った後も、汚れた面を内側にしてたたみ直すのがスマートです。ぐちゃぐちゃのままポケットやバッグに戻すのは見苦しい印象を与えます。

• 見せない気配り:ハンカチは、必要な時にだけさりげなく取り出すものです。手持ち無沙汰に何度も広げたりたたんだり、ひらひらさせたりするのは慎みましょう。

子どものハンカチはどう選ぶ?

お子さんを連れて葬儀に参列する場合、子どもの持ち物にも気を配りたいものです。

• 制服がある場合:学校指定の白無地のハンカチがあれば、それが最も適しています。

• 制服がない場合:基本的には大人と同じで、白か黒の無地のハンカチを用意します。もし無地のものがなければ、キャラクターものではなく、紺やグレーといった地味な色の無地のハンカチを持たせましょう。

• 小さな子どもの場合:まだマナーを理解できない小さなお子さんの場合は、無理にハンカチを持たせる必要はありません。それよりも、ぐずった時に口を拭いてあげられるよう、親が予備のハンカチやティッシュを持っていると安心です。

【準備と対処法】いざという時に慌てないために

弔事は突然訪れるものです。いざという時に慌てないための準備と、万が一の時の対処法を知っておきましょう。

葬儀用ハンカチの購入場所リスト

• 百貨店・デパートのフォーマルウェア売り場:品質の良いものが揃っており、店員さんに相談しながら選べるのがメリットです。

• 紳士服・婦人服の専門店(スーツ量販店など):喪服やフォーマルスーツのコーナーに、ハンカチや袱紗などの小物も一緒に置かれていることが多いです。

• スーパーの衣料品売り場:手頃な価格で白無地のハンカチが見つかることがあります。

• 100円ショップ:店舗によっては白無地の綿ハンカチを扱っています。品質は様々なので、生地の薄さや縫製などを確認して購入しましょう。

• コンビニエンスストア:急な弔問の際に最も頼りになります。多くの店舗で、ビジネス用の白無地ハンカチが置かれています。

• ネット通販:時間に余裕があるなら、豊富な種類の中から選べます。

当日、忘れてしまった時の対処方法

万が一、ハンカチを忘れてしまった場合は、慌てずに以下の方法を試してみてください。

1. 会場近くのコンビニや売店を探す:まずは購入できないか探してみましょう。

2. ティッシュで代用する:最終手段として、ポケットティッシュで代用します。その際、キャラクターなどが印刷されたパッケージは目立つので、中身の白いティッシュだけを取り出して使うようにしましょう。ただし、ティッシュは涙で濡れると顔に張り付きやすいので注意しましょう。

3. 人から借りない:ハンカチは肌に直接触れる衛生用品です。親しい間柄であっても、安易に貸し借りはしないようにしましょう。

よくある質問

タオルハンカチはNG?

NGです。タオルハンカチは吸水性に優れていますが、その厚みと質感からカジュアルなアイテムとされています。フォーマルな場である葬儀にはふさわしくありませんので、避けましょう。

アイロンがけは必須ですか?

はい、必須です。シワだらけのハンカチは、だらしない印象を与え、身だしなみに気を配っていない=故人やご遺族への配慮に欠ける、と受け取られかねません。清潔感の象徴として、必ずきれいにアイロンがけをしたものを持参しましょう。

葬儀用のハンカチに香水をつけてもよい?

絶対にNGです。葬儀の場では、お焼香の香りを妨げないよう、香水や香りの強い柔軟剤、整髪料などの使用はマナー違反とされています。ハンカチも必ず無香料のものを使用してください。

袱紗(ふくさ)の色とハンカチの色は合わせるべき?

合わせる必要はありません。弔事用の袱紗は紫や紺、緑、グレーなどが一般的ですが、ハンカチは白か黒が基本です。それぞれの小物が弔事のマナーに沿っていれば問題ありません。

まとめ

葬儀でのハンカチは、女性なら上品さ、男性ならシンプルさを意識して選ぶと間違いありません。また、お通夜のハンカチの色に迷った時も、基本は告別式と同じ「白か黒」と覚えておけば、いざという時に落ち着いて行動できます。

マナーとは、ルールでがんじがらめになることではなく、その場にいる人々が気持ちよく過ごせるための「思いやり」の形です。TPOに合わせたハンカチを一枚用意しておくことで、心置きなく故人との最後のお別れに集中できるはずです。この記事が、あなたの不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。